犬がおもちゃを何度も持ってくるのは、遊びたい、構ってほしい、運動や刺激を求めているなど、さまざまな理由が考えられます。過去におもちゃを持ってくることで遊んでもらえた経験から、同じ行動を繰り返している場合もあります。
おもちゃを持ってくること自体は、必ずしも問題行動ではありません。愛犬の様子や生活環境を確認し、遊ぶ時間と休む時間にメリハリをつけながら、一貫した対応を心がけることが大切です。
この記事では、犬がおもちゃをしつこく持ってくる理由や、持ってくるのに離さないときの心理、適切な対処法、避けたい対応について解説します。
犬がおもちゃをしつこく持ってくる4つの理由

犬がおもちゃを何度も持ってくるときは、飼い主に遊びやコミュニケーションを求めている可能性があります。また、過去の経験や運動量などが行動に影響していることもあります。
理由①:飼い主と遊びたい・構ってほしい
犬がおもちゃを持ってくる代表的な理由は、飼い主と遊びたい、構ってほしいという気持ちです。
犬にとって飼い主との遊びは、体を動かすだけでなくコミュニケーションを取る機会でもあります。飼い主が仕事やスマートフォンなどに集中しているときにおもちゃを持ってくる場合は、注意を向けてほしいのかもしれません。
おもちゃを持ってきた後に飼い主の顔を見たり、遊びに誘うような姿勢を見せたりする場合は、遊んでほしいという意思表示の可能性があります。
理由②: おもちゃを持ってくると遊んでもらえると学習している
以前、おもちゃを持ってきたときに遊んでもらった経験があると、その行動を繰り返すことがあります。
犬は、自分の行動と、その後に起きた出来事の関係を学習します。そのため、「おもちゃを持っていく→飼い主が反応する→遊んでもらえる」という経験が重なると、おもちゃを持ってくる行動が習慣になる場合があります。
この場合、犬は「しつこくしている」というより、「おもちゃを持っていけば飼い主と遊べる」と学習していると考えられます。
理由③:運動や刺激が不足している
散歩や遊びの時間が十分でない場合、運動や刺激を求めておもちゃを持ってくることがあります。
特に若い犬や活動量の多い犬では、運動する機会が不足すると、遊びへの要求が強くなることがあります。
ただし、必要な運動量は犬種だけでなく、年齢や体格、性格、健康状態などによって異なります。急に運動量を増やすのではなく、現在の散歩時間や遊び方を見直し、愛犬の様子に合わせて調整しましょう。
理由④:飼い主の反応そのものを楽しんでいる
犬がおもちゃを持ってきたとき、「しつこい」「もう終わり」などと声をかけたり、おもちゃを取り上げようとしたりしていないでしょうか。
飼い主からすると注意しているつもりでも、犬にとっては「飼い主が反応してくれた」と受け取られる場合があります。
その結果、声をかけてもらったり追いかけてもらったりすることを期待して、さらにおもちゃを持ってくる可能性があります。
遊ぶときと遊ばないときで対応を分け、要求されるたびに反応しないことがポイントです。
犬がおもちゃを持ってくるのに離さないのはなぜ?

犬がおもちゃを持ってきても離さない場合は、引っ張り合いなど別の遊びに誘っている可能性があります。また、おもちゃを取られたくないという気持ちから、離そうとしないこともあります。
引っ張り合いや追いかけっこをしたい
犬がおもちゃをくわえたまま離さないのは、飼い主との引っ張り合いを楽しみたいからかもしれません。
飼い主がおもちゃを取ろうとすると逃げたり、こちらを振り返ったりする場合は、「追いかけて」と遊びに誘っている可能性があります。
犬によって好む遊び方は異なるため、単純に「持ってきたのに渡さない」と考えるのではなく、どのような遊びを求めているのか観察してみましょう。
おもちゃを取られたくない
お気に入りのおもちゃを守ろうとして、離さないこともあります。
特に、過去におもちゃを無理に取り上げられた経験がある犬は、「また取られるかもしれない」と警戒して、強くくわえたり逃げたりすることがあります。
唸る、歯を見せる、体を硬くするなどの反応が見られる場合は、力ずくで取り上げないようにしましょう。
このような反応が頻繁に見られる場合や、飼い主に向かって噛もうとする場合は、無理に対応せず、獣医師やドッグトレーナーなどに相談することも検討してください。
犬がおもちゃをしつこく持ってきたときの対処法

犬がおもちゃを何度も持ってくるときは、遊びや生活のルールを整えることが大切です。
「遊ぶときはしっかり遊ぶ」「終わったら休む」というメリハリをつけ、愛犬が適切に運動の機会や刺激を得られる環境をつくりましょう。
遊ぶ時間と終わりの合図を決める
犬と遊ぶときは、飼い主が遊びを始めるタイミングと終わるタイミングを決めておくとよいでしょう。
遊びを終えるときは、「おしまい」など毎回同じ言葉を使い、おもちゃを片付けます。遊びが終わった後は、犬が落ち着いて過ごせる時間をつくりましょう。
犬がおもちゃを持ってきても、飼い主の都合が合わないときは毎回遊ぶ必要はありません。一方で、飼い主の都合が合うときには、適切なタイミングで遊びに応じることも大切です。
「持ってくるたびに遊ぶ」のではなく、飼い主が遊びの開始と終了を決めることで、メリハリをつけやすくなります。
「ちょうだい」などの合図でおもちゃを離す練習をする
おもちゃを安全に手放せるよう、「ちょうだい」などの合図を教えておくことも役立ちます。
まずは犬がおもちゃをくわえているときに、別のおやつやおもちゃを見せます。犬がおもちゃを離したら「ちょうだい」と声をかけ、褒めてからごほうびを与えます。
これを繰り返し、「おもちゃを離すと良いことがある」と学習できるようにしましょう。
慣れてきたら、おやつを見せなくても合図で離せるよう、少しずつ練習します。
無理に口を開けたり、おもちゃを強く引っ張ったりするのは避けてください。おもちゃを取られることへの警戒を強める可能性があります。
知育玩具などを活用して遊び方に変化をつける
飼い主が常に遊び相手になれない場合は、知育玩具を取り入れて、遊び方に変化をつける方法もあります。
フードやおやつを入れ、犬自身が工夫しながら取り出すタイプの玩具なら、遊びを通して頭を使う機会をつくれます。
ただし、知育玩具を与えれば必ず一人で遊び続けるとは限りません。愛犬の性格や好みに合ったものを選び、初めて使う際は飼い主が様子を見ながら、安全に使えているか確認しましょう。
また、破損した玩具は誤飲やケガにつながるおそれがあります。使用前後に状態を確認し、破損が見られる場合は使用を控えることが大切です。
散歩や遊びの内容を見直す
運動や刺激が不足していると考えられる場合は、散歩や遊びの内容を見直してみましょう。
散歩では歩くだけでなく、安全な場所で愛犬が匂いを嗅ぐ時間をつくることもできます。室内では、おもちゃを使った遊びや簡単なトレーニングを取り入れる方法もあります。
ただし、運動量を増やせば必ずおもちゃを持ってくる行動が減るとは限りません。愛犬の年齢や体調、性格などを考慮し、無理のない範囲で調整しましょう。
犬がおもちゃを持ってきたときのNG行動

犬がおもちゃを持ってくることが気になっても、感情的に叱ったり、無理やり取り上げたりするのは避けましょう。
対応によっては、犬がおもちゃを取られることを警戒したり、飼い主の反応を求めて行動を繰り返したりする可能性があります。
しつこさに負けて毎回遊ぶ
犬がおもちゃを何度も持ってくると、飼い主もつい遊びに応じてしまうことがあります。
しかし、要求されるたびに遊んでいると、「何度も持っていけば遊んでもらえる」と学習する可能性があります。
遊ぶ時間を決め、終わったらおもちゃを片付けるなど、対応に一貫性を持たせましょう。
ただし、犬からの要求をすべて無視する必要はありません。散歩や遊びの時間が不足していないかを確認し、適切なタイミングで欲求を満たすことも大切です。
大声で叱ったり追いかけたりする
大声で叱ったり、逃げる犬を追いかけたりするのは避けましょう。
犬によっては、飼い主とのやり取りそのものを遊びとして受け取り、さらにおもちゃを持ってくることがあります。
また、大きな声で叱られることで不安や恐怖を感じる犬もいます。遊ばないときは必要以上に反応せず、落ち着いて対応しましょう。
おもちゃを力ずくで取り上げる
犬がくわえているおもちゃを無理に引っ張ったり、口を開けて取り上げたりするのも避けましょう。
おもちゃを取られることへの警戒が強まり、持って逃げる、唸るなどの行動につながる可能性があります。
また、強く引っ張り合うことで、犬の口や歯に負担がかかることもあります。
「ちょうだい」などの合図を使い、おやつや別のおもちゃとの交換を利用して、落ち着いて手放す練習をしましょう。
おもちゃへの執着が強いときは専門家に相談しよう

おもちゃを何度も持ってくるだけであれば、必ずしも問題行動とは限りません。飼い主と遊ぶことを楽しんでいたり、コミュニケーションを求めていたりする場合もあります。
一方で、次のような様子が見られる場合は、単なる「遊びたい」という要求とは分けて考えたほうがよいでしょう。
- おもちゃを取ろうとすると激しく唸る
- おもちゃを守るために噛もうとする
- 遊びをやめられず、興奮状態が続く
- おもちゃへの執着によって食事や睡眠などに影響が出ている
- これまでなかった行動が急に見られる
こうした場合は、無理におもちゃを取り上げたり、自己判断で厳しくしつけたりせず、獣医師やドッグトレーナーなどに相談することをおすすめします。
特に、急に行動が変化した場合は、生活環境だけでなく体調面の変化が関係していないか確認することも大切です。
まとめ:犬がおもちゃを持ってくる理由を見極めよう

犬がおもちゃをしつこく持ってくるのは、遊びたい、構ってほしい、運動や刺激を求めているなど、さまざまな理由が考えられます。
過去におもちゃを持ってくることで遊んでもらった経験があると、「おもちゃを持っていけば飼い主が反応してくれる」と学習し、同じ行動を繰り返すこともあります。
対応するときは、遊ぶ時間と終わりを明確にし、「ちょうだい」などの合図でおもちゃを離す練習をしてみましょう。散歩や知育玩具なども活用し、愛犬が適切に運動や刺激を得られる環境を整えることも大切です。
大声で叱ったり、無理やりおもちゃを奪ったりするのではなく、愛犬がなぜおもちゃを持ってくるのかを観察しながら対応しましょう。
おもちゃを守って唸る・噛もうとするなど、対応に不安を感じる行動が見られる場合は、専門家への相談も検討してください。
