犬がおもちゃを取られると怒る理由は?唸る・噛む原因と対処法を解説 

犬がおもちゃを取ろうとすると唸ったり、怒ったような様子を見せたりして、どう対応すればいいのか悩んでいる飼い主は少なくありません。

こうした行動の背景には、おもちゃを守ろうとする本能や、過去に取り上げられた経験による警戒心、遊びで興奮しすぎていることなど、さまざまな理由があります。無理におもちゃを取り上げたり強く叱ったりすると、かえって警戒心が強まり、噛みつきなどのトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。

大切なのは、「怒る犬」と決めつけるのではなく、なぜそのような行動を取るのかを理解したうえで、適切に対応することです。

この記事では、犬がおもちゃを取られると怒る主な理由や避けたい対応、「ちょうだい(離して)」を教えるトレーニング方法、日頃からできる予防策までわかりやすく解説します。正しい接し方を身につけ、愛犬と安心して遊べる関係を目指しましょう。

犬がおもちゃを取られると怒る理由

犬がおもちゃを取られると怒る行動には、さまざまな理由があります。わがままだからではなく、おもちゃを守ろうとする本能や不安、過去の経験などが影響しているケースがほとんどです。

まずは、愛犬がどのような気持ちで怒っているのかを理解することが大切です。理由を知ることで、適切な対応やトレーニングにつなげやすくなります。

大切なものを守ろうとする本能が働いている

犬がおもちゃを取られると怒る理由の一つが、大切なものを守ろうとする本能です。

犬はもともと、食べ物や寝床、獲物など自分にとって価値のあるものを守る習性を持っています。そのため、お気に入りのおもちゃも「大切なもの」と認識すると、近づく相手に対して警戒することがあります。

例えば、お気に入りのぬいぐるみやロープを前足で抱え込んだり、人が近づくと体で隠したりする行動が見られることがあります。このようなタイミングで急に手を伸ばすと、「取られてしまう」と感じて唸ったり、歯を見せたりする場合があります。

このようなおもちゃを守る行動は、「リソースガーディング(資源防衛行動)」と呼ばれる自然な行動の一つです。

これは、珍しい行動ではなく、食べ物や寝床、おもちゃなど大切なものを守ろうとするときに見られる自然な行動です。 

問題行動として決めつけるのではなく、犬の気持ちを理解しながら改善を目指すことが大切です。

おもちゃを取られることに不安を感じている

過去の経験から、「一度渡したら返してもらえない」と学習している犬もいます。

例えば、遊んでいる途中で毎回おもちゃを取り上げられ、そのまま遊びが終わってしまう経験を繰り返すと、犬は「人の手が近づく=楽しい時間が終わる」と覚えてしまうことがあります。

その結果、おもちゃを守ろうとして唸ったり、口から離さなくなったりすることがあります。

特に、お気に入りのおもちゃほど警戒心が強くなりやすいため、無理に取り上げるのではなく、「離しても安心できる」と少しずつ学んでもらうことが重要です。

過去の経験から警戒している

犬がおもちゃを取られると怒るようになった背景には、これまでの経験が影響していることもあります。

例えば、おもちゃをくわえているときに唸ったところ、飼い主が手を引いてそのまま取り上げるのをやめた経験があると、「唸ればおもちゃを守れる」と学習してしまう場合があります。

また、無理に口から取り上げられたり、大きな声で叱られたりした経験がある犬は、人が近づくだけで警戒するようになることもあります。

このような行動は犬なりの自己防衛であり、性格の問題ではありません。過去の経験を踏まえながら、安心しておもちゃを渡せる成功体験を少しずつ積み重ねていくことが大切です。

遊びに興奮しすぎている

怒っているように見えても、実際には遊びに興奮しすぎているだけというケースもあります。

引っ張りっこやボール遊びなどで興奮が高まると、犬は周囲が見えにくくなり、いつもより強くおもちゃを噛んだり、人の手に勢いよく口が当たってしまったりすることがあります。

この場合は、相手を攻撃しようとしているわけではなく、興奮をうまくコントロールできていない状態です。

遊びの途中で「待て」や「ちょうだい」を取り入れて一度落ち着く時間を作ることで、興奮しすぎるのを防ぎやすくなります。愛犬の様子を見ながら無理のないペースで遊ぶことも大切です。

犬がおもちゃを取られると怒るときのNG対応

犬がおもちゃを守ろうとして唸ったり怒ったりしたときは、対応の仕方がとても重要です。良かれと思って取った行動が、かえって警戒心を強めたり、問題行動を悪化させたりすることもあります。

愛犬との信頼関係を保ちながら改善を目指すためにも、まずは避けたい対応を確認しておきましょう。

大声で叱ったり叩いたりする

犬がおもちゃを守って唸ったからといって、大声で怒鳴ったり叩いたりすることはおすすめできません。

犬は叱られた理由を正しく理解できるとは限らず、「おもちゃを守っていたら怖い思いをした」「人が近づくと危険だ」と感じてしまうことがあります。その結果、防衛本能がさらに強まり、唸りや噛みつきが悪化する可能性もあります。

例えば、唸った犬に対して「ダメ!」と大声で怒鳴ったり、鼻先を叩いたりすると、その場では行動が止まったように見えても、不安や恐怖は残ったままです。次回以降は唸る前に噛みつくなど、より強い行動につながることもあります。

犬が唸るのは、「これ以上近づかないでほしい」というサインでもあります。感情的に叱るのではなく、まずは落ち着いて状況を確認し、適切な方法で対応することが大切です。

無理やり力づくでおもちゃを取り上げる

おもちゃを口にくわえている犬から、力づくで取り上げようとするのも避けましょう。

引っ張って奪おうとすると、犬は「取られたくない」と感じ 、さらに強く噛み締めたり、勢いで人の手を噛んでしまったりすることがあります。また、犬の歯や顎を傷つけてしまうおそれもあります。

特に、お気に入りのおもちゃほど執着が強くなりやすいため、無理に取り上げることは逆効果です。

おもちゃを回収したい場合は、おやつや別のおもちゃと交換するなど、犬が自分から口を離せる状況を作ることを心がけましょう。

唸るからといって放置する

犬が怒るのが怖くて、おもちゃをそのまま持たせ続けることも適切とはいえません。

毎回「唸れば人が離れてくれる」という経験を繰り返すと、その行動が習慣になり、おもちゃ以外の場面でも同じように警戒するようになる可能性があります。

ただし、だからといって無理に取り上げる必要はありません。大切なのは、犬が安心しておもちゃを離せるように、少しずつ練習を重ねることです。

唸る行動が頻繁に見られる場合は、普段の遊び方やおもちゃの管理方法も見直しながら、「離しても嫌なことは起こらない」という経験を積み重ねていきましょう。

の行動を改善する「ちょうだい」トレーニング

犬がおもちゃを取られると怒る行動を改善するには、「ちょうだい(離して)」を教えるトレーニングが効果的です。

大切なのは、無理におもちゃを取り上げるのではなく、「離すと良いことがある」と犬に学んでもらうことです。安心しておもちゃを手放せる経験を積み重ねることで、警戒心の軽減につながります。

なお、すでに強く唸ったり噛みついたりしている場合は無理に練習を進めず、犬が落ち着いているタイミングから始めましょう。

おやつと交換して「離すと良いことがある」と教える

最初は、おもちゃよりも魅力的なおやつを使って交換する練習から始めます。

犬がおもちゃをくわえているときに、おやつを鼻先へ近づけながら「ちょうだい」と優しく声をかけます。犬がおやつに気づいて自然とおもちゃを離したら、すぐに褒めておやつを与えましょう。

このとき、無理におもちゃを引っ張ったり、何度も「ちょうだい」と繰り返したりする必要はありません。

「おもちゃを離すとおいしいものがもらえる」という経験を積み重ねることで、犬は安心して口を離せるようになっていきます。

おもちゃを返して「取られて終わりではない」と伝える

犬がおもちゃを守る理由の一つは、「取られたら戻ってこない」と感じていることです。

そのため、交換ができたら、おやつを食べ終わったあとに再びおもちゃを返して遊びを続ける練習も取り入れましょう。

例えば、「ちょうだい」でおもちゃを離したら褒めておやつを与え、その後「どうぞ」と声をかけておもちゃを返します。

この流れを繰り返すことで、「離してもまた遊べる」と理解しやすくなり、おもちゃへの過度な執着や警戒心が少しずつ和らいでいきます。

毎回おもちゃを没収してしまうよりも、犬が安心して手放せる環境を作ることが大切です。

家族で同じ合図を使い、タイミングよく褒める

トレーニングでは、家族全員が同じ言葉を使うことも重要です。

「ちょうだい」「離して」「アウト」など、指示する言葉を一つに決め、全員が統一して使うようにしましょう。毎回違う言葉を使うと、犬が混乱しやすくなります。

また、褒めるタイミングもポイントです。

犬がおもちゃを口から離した瞬間に、「いい子!」などと優しく褒めてご褒美を与えましょう。タイミングが遅れると、犬は何を褒められたのか理解しにくくなります。

焦って結果を求めるのではなく、短時間の練習を毎日少しずつ続けることが、成功への近道です。

犬がおもちゃを取られると怒るのを防ぐ予防策と環境づくり

「ちょうだい」のトレーニングとあわせて、犬がおもちゃを取られると怒りにくい環境を整えることも大切です。

日頃の遊び方やおもちゃの管理方法を見直すことで、おもちゃへの過度な執着や警戒心を予防しやすくなります。家庭で実践しやすいポイントを紹介します。

おもちゃを出しっぱなしにしない

お気に入りのおもちゃをいつでも使える状態にしていると、犬がおもちゃを自分のものとして強く意識し、守ろうとする気持ちが強くなることがあります。

遊び終わったら、おもちゃは犬の手が届かない場所へ片付けましょう。必要なときだけ飼い主が出して、一緒に遊ぶ習慣を作ることで、おもちゃへの過度な執着を防ぎやすくなります。

また、おもちゃを定期的に入れ替えるのもおすすめです。毎回同じおもちゃだけを使うよりも、新鮮な気持ちで遊べるため、一つのおもちゃへの執着を和らげる効果が期待できます。

興奮しすぎない遊び方を心がける

引っ張りっこやボール遊びは犬にとって楽しい遊びですが、興奮しすぎるとおもちゃを離せなくなったり、勢い余って人の手に口が当たったりすることがあります。

遊びを始める前に「おすわり」や「待て」を取り入れたり、遊びの途中で一度休憩を入れたりすることで、興奮をコントロールしやすくなります。

また、犬が疲れてきたり興奮が高まってきたりした様子が見られたら、無理に遊びを続けず、落ち着く時間を作ることも大切です。

遊びの開始から終了までを落ち着いて進めることで、犬も気持ちを切り替えやすくなります。

改善が難しい場合は専門家へ相談する

おもちゃを取ろうとすると毎回本気で噛みつく、威嚇が強く家族も近づけないなど、自宅での対応が難しい場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

無理に改善しようとすると、飼い主がけがをしたり、犬の警戒心がさらに強くなったりする可能性があります。

ドッグトレーナーや、犬の行動に詳しい獣医師であれば、犬の性格や生活環境に合わせたアドバイスやトレーニング方法を提案してもらえます。

特に、急に怒るようになった場合や、おもちゃ以外の食べ物・寝床なども守るようになった場合は、体調不良やストレスが影響していることもあるため、一度動物病院で相談すると安心です。

犬がおもちゃを取られると怒るときによくある質問

ここでは、犬がおもちゃを取られると怒るときによくある質問に回答します。

子犬でも同じ方法でしつけできますか?

基本的な考え方は子犬でも成犬でも同じです。

子犬のうちから、おもちゃを無理に取り上げるのではなく、おやつと交換しながら「離すと良いことがある」と教えることで、将来的なトラブルの予防につながります。

ただし、まだ集中力が長く続かない時期なので、1回5分程度の短いトレーニングを繰り返すのがおすすめです。

おやつと交換すると甘やかしになりませんか?

適切なタイミングでおやつを使うことは、犬のしつけで広く用いられている方法の一つです。

おやつは「おもちゃを離したことへのご褒美」として与えるものであり、甘やかしとは異なります。

「ちょうだい」の行動が定着してきたら、毎回おやつを使わず、褒め言葉や遊びを続けることをご褒美にするなど、少しずつ切り替えていくとよいでしょう。

唸ったら遊びをやめたほうがいいですか?

犬が興奮しすぎている場合は、一度遊びを中断して気持ちを落ち着かせましょう。

ただし、無理におもちゃを取り上げたり、叱って遊びを終わらせたりするのはおすすめできません。

犬が落ち着いたら改めて遊びを再開し、「ちょうだい」の練習を取り入れながら、安心しておもちゃを離せる経験を積み重ねることが大切です。

まとめ

犬がおもちゃを取られると怒る行動は、おもちゃを守ろうとする本能や、取られることへの不安、過去の経験などが関係していることが多くあります。そのため、「性格が悪い」「言うことを聞かない」と決めつけるのではなく、まずは愛犬の気持ちを理解することが大切です。

改善を目指すには、大声で叱ったり無理におもちゃを取り上げたりするのではなく、「ちょうだい」のトレーニングを通して、「おもちゃを離しても安心」と学んでもらうことがポイントです。また、おもちゃを出しっぱなしにしない、興奮しすぎない遊び方を心がけるなど、日頃の環境づくりも予防につながります。

もし本気で噛みつく、威嚇が強いなど家庭での対応が難しい場合は無理をせず、まずはかかりつけの獣医師へ相談し、必要に応じてドッグトレーナーを紹介してもらうように相談しましょう。焦らず少しずつ成功体験を積み重ねることで、愛犬との信頼関係を保ちながら改善を目指せます。